からジェイコプに向き

そのそばには、モノクルをぶらさげ、きちんと服を着たチンパンジーがおり、カラの目と同じ高さに自分の目がくるよう、椅子の上に立っていた。
 チンブが膝をまげてぴょんぴょんとびはねるたびに、椅子がゆれた。なんだか怒ったように、胸にかげた機械をたたいている。プリングの外交官は、ジェイコブの目には親しみをこめた敬意とわかる表情を浮かべて、それを眺めていた。だが、そのカラの態度に、ジェイコブは驚いた……力をぬいた、気楽な姿勢。それは、このETが人間やカンテン、シンシアン──とりわけビラと話すときには、決して見せたことのない態度だったのだ。
 ケプラーはまずファギンに声をかけ、それなおった。
「いっしょにきていただけてうれしいですよ、デムワさん」ケプラーは驚くはど力強く燧手してから、チンパンジーをそばに呼び寄せた。
「こちらはジェフリー博士。彼の種族のなかでは、宇宙研究チームに正式に参加を認められた、最初のメンバーであり、かつ非常に優秀な研究者です。これからご案内ずる船を設計したのは、彼なのですよ」
 ジェフリーは、スーパーチンブに特徴的な、歪んだ笑みをうかべた。二世紀におよぶ遺伝子操作によって、チンパンジーの頭蓋や骨盤の湾曲は、人間に近い形に改造されている。それがいちばん、人間に似せやずい部分だったからである。その結果、彼はひどく毛深い、長い腕と大きなそっ歯のとびでた、背の低い褐色の人間のように見えた。
 握手をしたとき、操作のもうひとつの片鱗が感じられた。他の指と完全に向かいあわせられるように改良された親指が、ぐっと強く押しつけられたからである。ジェイコプは、まるでそこに、人間の刻印があるように感じた。
 ジェフリーは、ババカプがヴォーダーをぶらさげている位置に、黒いキーが水平に右から左へならぶ機械をかげていた。そのまんなかには、縦が十センチ、横が二十セソチほどの、なにも映っていないスクリーンがあった。
 スーパーチンプはおじぎをすると、キーに指を走らせた。明るい文字が、スクリーンに現われた。
〈お目にかかれてうれしいです。ケプラー博士は、あなたがいい人だと教えてくれました〉
 ジェイコプは笑って、「そいつはありがとう、ジェフ。いい人であれるように努力するよ。もっともわたしは、自分がなにをするためここへ呼ばれたのか、いまだに知らないんだがね!」
 ジェフは、ジェイコブにはもうおなじみの、チンパン

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